新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【営業力編】

新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【営業力編】

こんにちは。コンサルタントの山北です。
今回は新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【営業力編】です。「コールセンター KPI」などで検索しても、応答率、生産性などの紹介が多く、会話の中でお客様に商品を提案するような営業力のKPIが紹介されているケースは非常に少ないと思います。応答率や生産性はインバウンドセンターであればほとんどのコールセンターで必ず出てきますが、そもそも営業力は、業種や業態によってお問い合わせの特性上営業しない(できない)ケースがあり、一般的に当てはまらないコールセンターが多いのです。例えばテクニカルサポートのような不具合解消や操作方法を案内するコールセンターなどでは営業しないことがほとんどです(一部行うケースもあります)。また営業を行うコールセンターであっても、業種や業態によって設定すべき営業のKPIが違うという点も大きいかもしれません。今回は営業を行うコールセンターはもちろん、今は営業していないが今後コールセンターで営業のKPIを考えたいという方に向けての基本となる考え方、KPIを書いていきたいと思います。

コールセンターの営業で大切なことは?

このブログを見ている方はコールセンターの管理や運営に関わる方が多いと思いますが、一度お客様(消費者)の目線で思い出していただきたいことがあります。プライベートでコールセンターに電話をして、営業を受けたことはありませんか?その時はどんな気持ちでしたか?「商品をぐいぐい押されて断りづらい…」「もうかけたくない」といった気持ちになったことも多いのではと思います。私自身も、いち顧客としてコールセンターに電話をすることが多いのですが、同じような気持ちになることは良くあります。そのため「コールセンターの営業=押し売り」といったイメージを持っている方も多いと思いますが、コールセンターを管理する上で営業にこの意識を持って運営するとうまくいきません。仮に短期的に成果が出ても、働いているコミュニケーターは疲弊し離職が増える、お客様からはクレームが来て優良顧客が離れる、といったマイナスの面が出ることが多く、中長期的な成功は得られなくなります。

では、コールセンターの営業で大切なことは何か?それは「お客様が買いたい(定期購入品であれば続けたい)と思う最適な提案をする」ということです。当たり前のように感じるかもしれませんが、実際に現場でコンサルティングをしている私から見ても実践できているコールセンターは非常に少ないです。なぜ実践できないかというと、最適な提案とは「こちらが売りたいものを提案する」ではなく、「お客様が必要としていることを知り、それに合う提案をする」ことが必要だからです。そして「お客様が必要としていること」は一人ひとり違います。例えばスキンケアの化粧品を販売している会社でも、お客様がその商品を使っている理由はそれぞれです。保湿力が高い、においが好き、好きな俳優がCMしているから、などなどその商品に価値を感じるポイントは人によって違うということです。

お客様一人ひとりに合った最適な提案をするためには、最低この3点が実践できている必要があります。

  1. お客様の状況や心情、何に困っているかなどの質問をする
  2. お客様の悩みや困りごとを的確に捉える
  3. 解決できる提案(トーク)をする

最適な提案を実践できているコールセンターが少ないのは、上記を体系的に教えることができていないためです。コールセンターの営業力に取り組もうとしている方は、まずこの3点をしっかり押さえていただければと思います。

コールセンターの営業KPIのパターン

冒頭で書いた通り、営業のKPIは業種、業態によって設定すべきKPIが変わりますが、基本のパターンとして下記4パターンをご紹介します。実際に設定する場合は業種、業態やお問い合わせ内容(コールリーズン)に合わせて設定するようにしてください。また、営業のKPIは獲得や成功の定義も非常に重要です。例えば「初めから注文希望でかかってきた電話」と「商品の特徴を知りたいという電話」では獲得のしやすさも変わると思います。前者は営業せずとも注文を受けることができる確率は非常に高いため、こういったお電話を「営業としての成功」に含めるのかどうかなど、一定のルール作りもセットで考えましょう。

1.新規獲得率

新たな顧客を獲得する場合のKPIです。通販のテレビCMからの定期注文の受注や、保険やクレジットカードの新規申し込み、携帯電話の新規契約などのコールセンターで設定されるケースが多いです。

計算式:新規獲得数÷応答数=新規獲得率
計算例:500件(新規獲得数)÷1000件(応答数)=50%(新規獲得率)

通販の受注センターなどの場合は、新規獲得=コミュニケーターが定期を訴求して獲得ができた場合など、業種、業態に合わせて分母・分子の定義を協議しましょう。

2.アップセル率

既に申し込みや利用をいただいているサービス・商品に対し、上位グレードや大きいサイズなどを獲得する場合のKPIです。サブスクリプション型の通常サービスをプレミアムプランに引き上げたり、健康食品の通販商品を1ヶ月分→3ヶ月分のまとめ買い訴求などが該当します。

計算式:アップセル成功数÷応答数=アップセル成功率
計算例:400件(アップセル成功数)÷1000件(応答数)=40%(アップセル成功率)

既に利用いただいているサービス・商品を上位のサービスや商品に引き上げるため、新規獲得などと比較すると成功率は高く出やすい傾向になります。ただし、上位のサービス・商品に引き上げる価値をお客様に感じていただくことが重要ですので、現在の商品の利用状況や頻度、不便な点や悩みなどをヒアリングしてアップセルすることが、お客様にとってより良い提案となるかを考えましょう。

3.クロスセル成功率

既に申し込みや利用をいただいているサービス・商品に対し、同社や同ブランドの別商品で獲得する場合のKPIです。化粧品通販でファンデーションを購入いただいてるお客様に下地やスキンケア商品などを訴求する場合や、携帯キャリアで光や電気のサービスをお勧めする場合などが該当します。

計算式:クロスセル成功数÷応答数=クロスセル成功率
計算例:50件(クロスセル成功数)÷1000件(応答数)=5%(クロスセル成功率)

同社、同ブランドの商品とはいえ、違うサービスや商品を訴求するためアップセル成功率と比較すると成功率は低く出る傾向になるケースが多くあります。成功率を上げていくためにはお客様の状況や心情、何に困っているかなどを質問し、お客様に合ったクロスセル提案を行うことです。そのためには提案できるサービスや商品の選択肢が複数あることも重要な要素となります。

4.継続促進成功率(解約阻止率)

申し込みや利用をいただいているサービス・定期の商品などの解約のお申し出に対し、継続いただく訴求をする場合のKPIです。通販の定期系商材、携帯電話の契約、サブスクリプション型のサービスなど、自動的に継続が前提となっているサービスや商品で実施できる営業となります。

計算式:継続成功数÷解約申し出数=継続促進成功率
計算例:300件(継続成功数)÷1000件(解約申し出数)=30%(継続促進成功率)

気を付けたいこととして「解約したい」というお客様に対して、「とりあえず延期(休止)されてはどうですか?」など、その場しのぎの提案ではあまりやる意味がありません。それどころか、結局後日解約のお電話がかかってきて、1回で済んだ電話が2回になった(運営コストが無駄にかかった)だけ…ということにもなりかねません。解約されたい理由をヒアリングし、それらを解消できる使い方やサービスの見直しなどを提案し、お客様が「それなら続けてみよう!」と思っていただける訴求をすることが非常に重要です。

今回ご紹介したKPIを、コールセンターにおける基本的な営業のパターンとして認識いただけると良いと思います。(これら以外にも、BtoBの場合はアポ率などの指標がありますが、多くの場合は上記4つの応用型です。)「お客様一人ひとりに合った最適な提案」により、成功率の向上さらにはその企業やサービスと長期間付き合っていきたいと思っていただける事が、すべてのKPIのポイントになります。ぜひ、運営されているコールセンターの業種、業態に合わせて検討いただければと思います。

最後に

今回は営業のKPIについて書いてきましたが、KPIを設定した後はKPIの達成に向けて課題を特定し、向上させていく活動が必須です。また、単純に目の前の営業KPIだけでなく、サービスや商品の利用継続なども見ていく場合は、LTVの考え方なども必要になってきます。

営業のKPIを設定してコールセンターの経営貢献度を高めたい、営業に課題があるがどこを改善すればよいか分からない、などお悩みに関するご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーをお願いいたします。ご相談、お待ちしております。引き続きコールセンター業務に従事する皆様に活用いただけるブログを書いていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。


コールセンター管理職が知っておくべき用語シリーズ

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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リモートワーク中につき、代表電話が繋がりにくい場合がございます。その場合、恐れ入りますが、お問い合わせフォームまたは、直接担当者の携帯電話(メール)にてご連絡くださいますようお願い申し上げます。

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