新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【生産性編】(1)

新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【生産性編】(1)

こんにちは。コンサルタントの山北です。
今回は新人コールセンター管理職が知っておくべき用語【生産性編】(1)を書きたいと思います。インバウンドのコールセンターは業種や事業内容、コールセンターの役割などによって管理するKPIは違いますが、ほとんどすべてのコールセンターで共通して管理されているのが生産性です。今回は生産性編(1)として、お客様対応に直接関連する生産性の用語をご紹介します。どのインバウンドコールセンターでも基本的な考え方は共通していますので、新人管理者の方にぜひ読んでいただきたいです!

コールセンター管理職が知っておくべき用語シリーズ


なぜ生産性を理解することが大切か?

生産性を管理ができていないコールセンターは、お客様をお待たせしてしまう(=応答率が低い)、コストが無駄にかかっていることに気付かないなど、つながりやすさとコストのバランスが悪くなっているケースが多くあります。応答率が高くとも、コストをかけすぎているとその分利益が下がり、コールセンターの事業貢献度は下がります。逆に、コストの効率が良くても応答率が低ければお客様はその企業から離れていってしまいます。生産性を構成する用語・数字を理解し、バランスよくコントロールすることが重要になります。

お客様対応に関連する生産性

コミュニケーターがお客様対応をするときの行動をイメージしましょう。下記が、基本的なお客様対応時の行動としてあると思います。これら一つ一つを分解してご説明をしていきます。

インバウンドセンターコミュニケーターの行動

  1. お客様からかかってきた電話に応答し「通話をする」
  2. 確認事項がある場合「保留する」
  3. 通話が終わったら「後処理をする(履歴を残す)」
    ※場合によって「折り返し発信する準備をする」

※なお、下記の数字はコールセンターに入っているコールシステム(電話の応答や切断などを行う)により、データを取得できます。

平均通話時間(ATT(エーティーティー):Average Talk Time)

1コールあたりに要する通話時間の平均のことをいいます。

計算式:総通話時間 ÷ 総応答呼数
計算例:総通話時間800分 ÷ 総応答呼数100件 = 平均通話時間8分(480秒)

通話中に保留が発生することがありますが、コールシステムによって保留も通話時間に含まれている場合と、保留時間として別でデータが出てくる場合があります。自社のシステムを必ず確認しましょう

※保留時間はHOLD時間などとも呼ばれます。

平均後処理時間(ACW(エーシーダブリュー):After Call Work)

1コールあたりに要する後処理時間のことをいいます。例えば、電話で話した内容や顧客情報をパソコンに入力したり、ほかの部署やスタッフへ内容を転送することなどが平均後処理時間に含まれます。たとえ早く電話を終わらせても、後処理に時間がかかりすぎていると、当然コストがかかりますので注意が必要です。

計算式:総後処理時間 ÷ 総応答呼数
計算例:総後処理時間200分 ÷ 総応答呼数100件 = 平均後処理時間2分(120秒)

平均発信準備時間

1コールあたりに要する発信準備の時間のことをいいます。業種や業務内容によって折り返しなどがほどんど発生しない場合は計測しないケースもあります。例えば、確認事項があり電話を折り返しにして一度切電し、確認事項を調べてお客様へ発信するまでの時間が平均発信準備時間に含まれます。コールセンターによっては、前処理時間や発信時間と呼ばれるケースもあります。

計算式:総発信準備時間 ÷ 総応答呼数
計算例:総発信準備時間10分(600秒) ÷ 総応答呼数100件 = 平均発信準備時間6秒

※発信準備時間は毎通話ではなく、何件かに1件発生など頻度が少ないことが多いため、平均時間は小さくなる傾向があります。

平均対応時間(AHT(エーエイチティー):Average Handling Time)

1コールあたりの通話開始から後処理終了までに要した時間のことをいいます。一般的に対応時間に含まれるのは通話時間(ATT)+保留時間+後処理時間(ACW)(+平均発信準備時間)の合計。平均処理時間の短縮は、生産性向上やコスト削減に大きく影響します。

計算式:合計対応時間 ÷ 総応答呼数
計算例:通話時間7.5分(450秒) + 保留時間0.5分(30秒) + 後処理時間(2分) = AHT10分(600秒)

CPH(シーピーエイチ):(Calls Per Hour)

コミュニケーター1人が1時間(3600秒)当たりに処理する件数をいいます。AHT(平均処理時間)を算出し計算します。1人のコミュニケーターが1時間に5件取れるか、10件取れるかで必要な人員数は変わってきます。応答率を達成するために必要なKPIの1つです。

計算式:1時間(3600秒) ÷ AHT(秒)
計算例:AHT600秒(10分)の場合、CPHは3600秒 ÷ 600秒 = CPH6.0件

AHT/CPHの注意点

AHT、CPHは表裏一体です。AHTが半分の5分(300秒)になれば、CPHは2倍の12.0件になります。(1件の対応時間が半分に短くなれば、2倍対応できるということですね。)弊社にご相談いただく企業様より、「AHTが10分(600秒)なのに、1時間に6件取れないんですよ…」というご相談をいただく場合があります。

CPH6.0=実際に1時間に6件取れる、という訳ではありません。

「どういうこと?」と思われるかもしれませんが、AHT/CPHは「100%お客様対応のみに時間を使った場合」という前提になります。働いている時間の中で、1秒たりとも通話、保留、後処理、発信準備以外のことをしなければ6件取れることになりますが、実際には電話がかかってくる時間を待っていたり、小休憩やトイレ休憩、研修を受けることなどもありますので100%お客様対応のみに時間を使えるということはあり得ません。実際に1時間に何件取れるか?は稼働率/余剰率といった数字を踏まえて計算が必要になります。この辺りは次回の生産性編(2)でご紹介しますのでお待ちください!

新人管理者が最初にやるべきことは?

1: まずは生産性の意味を理解しましょう!

今回ご紹介した生産性の用語の意味をしっかり理解しましょう。その用語が何を意味しているのか、どういう計算になっているのかが分かることが管理の第一歩です。分からない場合は先輩管理者にも相談してみましょう。

2: 自分の業務、チームの生産性を把握しましょう!

今担当している業務の平均通話時間(保留時間)、平均後処理時間、平均発信準備時間、AHTが言えますか?1件のお客様の対応にどれくらい時間がかかっているのかを把握することから改善活動は始まります。1件の通話で平均5分、後処理で平均3分かかっているのか、ということが分かれば、コストを削減するときにどこを改善できるとインパクトが大きいかなども見えてきます。

3: 目標値があるかも確認しましょう!

一般的に、平均通話時間、平均後処理時間、AHT、CPHなどは目標値(KPI)が設定されているケースが多いです。まずはご自身の業務の目標値を確認し、実績と比較して未達成の部分がないかを確認してみましょう。もし目標値がない場合は、過去3ヶ月や6ヶ月の平均値などを出し、目標値の設定をするところから始めましょう。

最後に

今回はインバウンドセンターの管理者になった方に、最初に知っておいてほしい生産性用語をご紹介しました。応対品質や営業力などにフォーカスされることが多いコールセンターの業務ですが、コールセンターの土台となっているのは生産性とコスト、応答率です。この土台がバランスを崩すと、一気に営業成績や応対品質は崩れることもあります。管理の基本としてしっかり理解いただけると嬉しいです。

生産性の具体的な管理の方法や研修、その他のお悩みに関するご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーをお願いいたします。ご相談、お待ちしております。

引き続きコールセンター業務に従事する皆様に活用いただけるブログを書いていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

コールセンター管理職が知っておくべき用語シリーズ

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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リモートワーク中につき、代表電話が繋がりにくい場合がございます。その場合、恐れ入りますが、お問い合わせフォームまたは、直接担当者の携帯電話(メール)にてご連絡くださいますようお願い申し上げます。

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