コールセンターってなくなる仕事なの?2022年版

コールセンターってなくなる仕事なの?2022年版

こんにちは!コンサルタントの山北です。
2018年に弊社のインターン生が「コールセンターってなくなる仕事なの?」というブログを書きました。

コールセンターってなくなる仕事なの?

マイケル・A・オズボーン氏が2013年に『雇用の未来』という論文執筆してから10年近くが経過していますが、ここ数年で広告や音楽ストリーミングサービスをはじめAIが様々なサービスに実装され、実生活に大きく影響を与えるようになりました。(私自身もAIのレコメンド精度の高さには感心するばかりです。)

また「近い将来失われる職」の話も定期的に色んなところで議論が交わされており様々な考えがあります。コールセンターの仕事がなくなるかどうか、2022年現在の見解を考えてみようと思います。

コールセンター業界へのAI進出は?

直近でコールセンター業界への影響を最も与えたものといえば、新型コロナウイルスです。2020年に全世界に新型コロナウイルスが一気に広がり、コールセンターも大きく変化することが求められました。具体的には「コールセンターの在宅化」「セルフ型カスタマーサービスの充実」「業務効率化」が進んだ3年だと感じています。

新型コロナウイルスによるコールセンターの変化

  • コールセンターの在宅化
  • セルフ型カスタマーサービスの充実
  • 業務効率化

この中で特にAIの進出が進んだ「セルフ型カスタマーサービスの充実」「業務効率化」についてみていきたいと思います。

セルフ型カスタマーサービスの充実

「セルフ型カスタマーサービス」とは、チャットボット、FAQツール、ボイスボット、ビジュアルIVRなどの無人で”顧客の自己解決を促す”ものです。コロナにより出社制限や人員不足もあり、セルフ型カスタマーサービスを各社が推進されたことで、これらのツールはAIにより大きく進化を遂げています。

特にここ3年で顕著なのはAI型チャットボットです。顧客が入力したフリーワードをAIが読み解き、最適な回答ができるようになってきています。また、webサイトの良くある質問やFAQについても、質問Aを見た人は質問Bも良く見ているなどをAIが判定し、先回りしてAIが回答を表示してくれるなど進化しています。

他にも多くありますがAIが「セルフ型カスタマーサービス」に進出したことで顧客の自己解決率が向上している=電話問い合わせが減っていることは事実です。ただし問題がないかというとそうでもありません。いずれのサービスもまだまだ精度を上げていく余地があり、「使ってみたけど全然ほしい回答じゃなくて結局コールセンターに電話した」という話はよく聞きます。

業務効率化

続いて「業務効率化」です。例えばオペレーターのマニュアルを音声認識AIが探して自動表示してくれる、画像や伝票などの入力業務をAI型OCRにより一部自動化する、音声認識AIにより音声の文字起こしの自動化などが実業務で使われるようになってきています。

ポイントは”AIがオペレーターの代わりになる”ではなく、”AIがオペレーターや業務サポートする”ということです。完全にAI型のサービスのみで完結する仕事はほぼなく、AIが手伝いやサポートをしてくれるというのが現状です。この3年でコールセンター業界にもAIは大きく影響を与え、電話問い合わせの削減や一部の仕事を代替してくれるようになりました。

コールセンターの仕事はなくなるのか?

AIの進出により電話問い合わせの削減に貢献、業務の効率化は進んでいますが、じゃあコールセンターの仕事がなくなるか?というと私の見解ではなくなりません。

正しくは、「なくなるのではなく減る」と「仕事の質が変わってくる」と考えています。

「セルフ型カスタマーサービス」で完結できるのは比較的パターン化しやすいシンプルな要件であるケースが多く、複雑な要件の場合は電話で問い合わせないと対応できないことは多々あります。つまり電話がかかってくる件数は減るが、難易度や複雑性が高いものが入ってきやすくなるということです。

また、現時点でのAIは顧客の感情に対しての寄り添いや気遣いはできません。(適切な気遣いの言葉が表示されても気持ちを感じるか?でいくとNOです。)顧客の感情に対するおもてなしや寄り添いはまだまだ人間でしかできないものなのです。つまり仕事の質が変わってくるとは、「処理をすれば良い」「案内すれば良い」ということではなく、顧客の感情をより深く理解・共感し、人間じゃなければできないことを提供することが大事になってくるということです。

少し別の角度から見ると、SNSの普及もあり顧客が求める企業の対応姿勢やフォローについては年々ハードルが上がっています。残念な対応をされるとSNSに(主観的に)書かれ炎上したり、同調する人が多いと企業イメージ自体を落としてしまうケースもあります。コールセンターとは企業の顔ですので、オペレーターの対応はより高度なものを求められています。(弊社にも応対品質を上げたい、感動体験を提供できるような人材育成をしたいといったご相談を多くいただいています。)

今後もセルフ型カスタマーサービスの拡大によりコールセンターの仕事量は減少を続けると想定されますが、なくなることはありません。一方で難易度や複雑性が高い要件への対応、顧客への良い体験をどう提供していけるかがコールセンターの価値になってくると思います。AIを使い電話を減らすこと、オペレーターの業務を効率化しながら、1件の電話に対する提供価値を上げていくことが重要です。

雇用は奪われるのか?

コールセンターはなくならないとはいえ電話が減るなら「雇用を失う人がいるのでは!?」という疑問が湧いてくると思います。ただ、今から約30年後の2050年の生産年齢人口(15~64歳)は30%(約2200万人)減ると言われており、日本全体で労働力不足が懸念されています。

出典:内閣府/2022「令和4年版高齢社会白書」
引用:(出典)内閣府/2022年「令和4年版高齢社会白書」

急激に生産年齢人口が減っていくことを考えると、AIの活用による業務の効率化やセルフサービス化は社会全体で進められるべきです。むしろそれがなければ深刻な労働力不足となり、今の生活レベルの維持自体も難しくなる可能性があります。

コールセンター業界は労働人口も多いため、個人的には上記を鑑みるとコールセンターの雇用が失われる可能性はそこまで高くないと考えていますが、前述のとおり難易度や複雑性が高い要件への対応、顧客への良い体験を提供できる力が必要になりますので、そういったことができない場合は雇用の継続が難しい可能性は出てきます。今の状況に満足せず、これから必要とされる能力や対応力を各個人が高めていくことをおすすめします。

最後に

いかがでしたでしょうか?結論としては、「コールセンターの仕事はなくならない」が「電話自体は減り仕事の質が変わってくる」というのが私の結論です。社会環境の変化にも時折目を向け未来を予想し、仕事を自分で作り、守るべく各自が個々の能力の研鑽に努めることが重要と考えます。

オペレーターや管理者の育成、コールセンターの目指す姿の設計など、お悩みに関するご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーをお願いいたします。ご相談、お待ちしております。

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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