チャットボットの効果測定・改善に有効なKPI4選

チャットボットの効果測定 改善に有効なKPI4選

こんにちは。コンサルタントの山北です。

コロナによる非対面接客のニーズ増加、コールセンターの呼量削減などの目的によりチャットボットを導入する企業はここ数年で大幅に増えています。実際、いち消費者としてECサイトなどに訪問すると、チャットボットのアイコンが表示されることが当たり前になってきていると感じている方も多いのではないでしょうか。

一方で「このチャットボットは知りたいことを全然教えてくれない」「いきなり表示が出てきて間違って押してしまった」などのネガティブな体験をされた方も多いのではないかと思います。私もチャットボットのコンサルティングをさせていただいている仕事柄もあり、ECサイトで残念なチャットボットに出会うと「もったいないな・・」「チャットボットの良さが活かされていない」と感じることがあります。今回は「お客様に気持ちよく使っていただけるチャットボット」を構築していくために、効果測定・改善に有効なKPI4選をご紹介していこうと思います。

チャットボットのKPIはまだ標準が定まっていない?!

コールセンターの標準的なKPIとしては応答率、CPH、CPC、顧客満足度などがありますが、実はチャットボットのKPIは業界としてもまだ当たり前とされる標準的なKPIが定まっていません。(参考ブログ記事:コールセンター管理職が知っておくべきKPI10選

「チャットボット KPI」などでWEB検索をするとチャットボットのKPI事例は多く出てきますが、開設されているKPIはかなりばらつきがあり、まだまだ未成熟な状態と言えます。これはまだチャットボットが広まってからの歴史が浅くノウハウや集合知が習熟していないこと、チャットボットの導入目的により測定すべき数値が異なることなどがあります。今回はチャットボットの導入目的に関わらず、「お客様に気持ちよく使っていただけるチャットボット」を効果的・効率的に構築していくために、最低限必要と考えるKPIをご紹介していきます。
チャットボットに必要なKPI4選

チャットボットに必要なKPI4選 (1)起動率

チャットボットをどれくらいのお客様に起動(利用)いただけているか?を計測するためのKPIです。

計算式:チャットボット起動数 ÷ チャットボット設置ページの訪問ユーザー数 = 起動率
計算例:300件(チャットボット起動数) ÷ 10,000ユーザー(チャットボット設置ページの訪問ユーザー数) = 3%(起動率)

起動率は一般的に1~3%程度が標準とされています。(設置するページや目的によっても異なります)

1%以下であれば設置するページやチャットボットのアイコンの設置位置、表示文言などに課題がある可能性が高いです。分母となるチャットボット設置ページの訪問ユーザー数が、チャットボットツール側で取得できない場合は、Googleアナリティクスで取得するなどして計算しましょう。なお、チャットボット導入の目的によりますが、サイト全ページにチャットボットを設置することはおすすめしません。どのページに行ってもチャットボットが立ち上がってくるとお客様にとってはストレスとなるケースが多いので、導入目的を果たせるページを選定して設置しましょう。

チャットボットに必要なKPI4選 (2)初期離脱率

チャットボットを立ち上げた方で何も利用せず離脱された方がどれくらいいるか?を計測するためのKPIです。

計算式:初期離脱数 ÷ チャットボット起動数 = 初期離脱率
計算例:90件(初期離脱数) ÷ 300件(チャットボット起動数) = 30%(初期離脱率)

初期離脱率は一般的に20~40%程度が標準とされています。(こちらも設置するページや目的によっても異なります)

初期離脱率が20%以下(言い換えると80%以上の方が何かしらボットのシナリオ選択、もしくは入力されている)であれば、チャットボットを起動したお客様にとって、最初に提示している選択肢や文言がマッチしていると言えるでしょう。1で紹介した起動率が3%以上と高くても、初期離脱率が40%以上ある場合は要注意です。起動率が高く初期離脱率も高い場合、つまり立ち上げたけどすぐ離脱されている場合は「チャットボットのアイコン位置が間違えて押しやすい位置になっている」「使いたいと思って立ち上げたけど該当する用件の選択肢がなかった」などお客様にとって使いづらいチャットボットになっている可能性が高いです。

チャットボットに必要なKPI4選 (3)途中離脱率

チャットボットのシナリオや、やり取りの途中で離脱してしまった(=用件が未完結)方がどれくらいいるか?を計測するためのKPIです。

計算式:途中離脱数 ÷ チャットボット起動数 = 途中離脱率
計算例:100件(途中離脱数) ÷ 300件(チャットボット起動数) = 33%(途中離脱率)

チャットボットのシナリオや回答は「最終回答」と「最終回答に行きつくまでの途中の選択肢」があります。途中離脱数は「最終回答に行きつくまでの途中の選択肢」で離脱した方が分子となります。途中離脱率は低ければ低いほど良いですが、チャットボットのシナリオ階層が深くなればなるほど高くなります。また、お客様が知りたいことと違う回答や選択肢が表示されると「知りたかったことじゃない」と判定され途中離脱となります。途中離脱率はシナリオの選択肢ごとで測定ができますので、選択するお客様が多く、途中離脱率が高いシナリオを見つけることから始めましょう。途中離脱率が多い選択肢は「提示している選択肢や回答が合っていない」ことがほとんどのため、選択肢や回答の見直しを行いましょう。

チャットボットに必要なKPI4選 (4)解決率・完結率

チャットボットで用件が解決・完結できた方がどれくらいいるか?を計測するためのKPIです。これは計測方法が解決率、完結率で2種類あります。解決率は「お客様に解決したかどうかを選択いただく」、完結率は「お客様がどこで離脱したかで計測する」という違いです。

1. 解決率

解決率は顧客満足度と同じように「お客様に解決したかどうか」をチャットボットの最終回答後のアンケートで回答いただきます。(最終回答の後に解決しましたか?という選択肢が出て、はい/いいえを選ぶ形式がほとんどです。)

計算式:解決したを選択された数 ÷ 解決アンケートの回答数 = 解決率
計算例:70件(解決したを選択された数) ÷ 100件(解決アンケートの回答数) = 70%(解決率)

一見するとチャットボットの評価を行うために分かりやすい計測方法ですが、気を付けなければいけない非常に重要なポイントがあります。それは「解決した方の多くは回答せずに離脱される」ということです。チャットボットは「自分のタイミングで利用でき、いつでも離脱できる」という特性があります。チャットボットを利用されたことがある方は思い出していただきたいですが、最終回答を受け取った後に解決したかどうかのアンケートを答えたことがありますか?おそらく答えたことがない方の方が多いのではないでしょうか。逆に未解決の方は知りたい回答が欲しいので、「いいえ」を選んで次の選択肢を待ったり、不満を伝えたくてアンケートに答えられる可能性が高いです。

弊社がご支援しているチャットボット導入企業様でも、回答率は2~3割程度です。これは7~8割のお客様が未回答で終わってしまうということです。結果として、解決した方はアンケートに回答されず、解決しなかった方がアンケートに回答される可能性が高くなるため、解決率は低く出やすいです。また、アンケートの未回答が多い点に対し「アンケートを必須にする」というアクション(例えば×ボタンを失くし回答しないと離脱できなくするなど)を取ることはおすすめしません。チャットボットなどのwebツールはお客様に主導権があり、行動を強制する導線にすると顧客体験は確実に損なわれ、より不満が貯まることになるので注意しましょう。

2. 完結率

完結率とは「最終回答」で手続きまで完了したり、外部リンクなど解決できるページやサイトに遷移(離脱)したなど、用件が完結できる行動をお客様がした割合を指します。つまり、お客様にとって良い終わり方(処理受付・離脱)を定義し、その割合を計測します。

計算式:良い終わり方をした数 ÷ チャットボット起動数 = 完結率
計算例:120件(良い終わり方をした数) ÷ 300件(チャットボット起動数) = 40%(完結率)

お客様にとって良い終わり方は、チャットボットの導入目的、シナリオ、チャットボット内でできること(一般案内までか、本人確認して処理まで受け付けられるかなど)によって変わります。例えば、会員登録の変更をマイページに誘導する(最終回答でリンクを用意する)というシナリオの場合は、マイページに遷移することが良い終わり方になります。チャットボット内で本人確認を行い、チャットボット上で会員登録の変更ができる場合は手続き完了の回答したお客様が、×でチャットボットを閉じることが良い終わり方になります。同じ手続きをする場合でもシナリオの作りやチャットボット内でできることで良い終わり方というのは変わりますので、作っているシナリオに合わせて定義を作りましょう。個人的には解決率よりも、お客様の行動から完結を測定する完結率の方が実態に沿った計測ができるのでおすすめです。

最後に

今回はチャットボットのKPI4選というテーマで書いてきましたが、導入目的やシナリオに関わらず最低限設定すべきKPIとしてご紹介させていただきました。実際は導入目的、チャットボットツールで計測できる数字、シナリオの構成などにより計測すべきKPIはそれぞれ変わってきます。これからチャットボットを検討される場合は「導入目的=どうやって効果を測定するか」を考えることから始めてみてください。その際チャットボットに完璧を求めすぎないことも重要です。コールセンターで対応している電話・メールは人がやっているからできている部分もあります。100%人と同じことをやろうとすると、お客様の負担も大きくなるケースがほとんどです。(お客様が細かく知りたいことを書かないといけない、など)主要8割のお問い合わせに回答する、簡単な手続きや設定をサポートして問い合わせを減らす、など導入目的のテーマを定めると考えやすくなると思います。

また、Cプロデュースではチャットボットのツール選定、運用支援実績がありますので、チャットボットに関するお悩み、ご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーください。些細なことでもお気軽にご相談お待ちしています♪

引き続きコールセンター業務に従事する皆様に活用いただけるブログを書いていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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