ChatGPTがコールセンターに与える影響は?

ChatGPTがコールセンターに与える影響は?

こんにちは。コンサルタントの山北です。
2023年に入り、イーロン・マスク創業のOpenAI社が2022年11月にローンチしたChatGPTが世間を賑わせており、ニュースや情報番組等でも取り上げられることが増えました。Cプロデュースではコールセンターの現場のコンサルティングはもちろん、有人チャットやチャットボットのコンサルティングも行っております。ChatGPTについては非常に注目していますし、コールセンターに従事している方、コールセンターに関連するソリューションを取り扱う企業の皆様も関心が高いのではないかと思います。ChatGPTとは何か?についてはたくさんの記事やブログ等にも書かれていますので、今回は現時点で私が想定している「ChatGPTがコールセンターに与える影響」について書いていこうと思います。

そもそもChatGPTは何がすごいのか?

1.どんな質問や会話を入力しても自然な文章生成ができる

これまでの自然言語型AIチャットボットとの最も大きな違いであり、注目度が高まっている要因はここにあると思います。みなさんの中にも企業サイトなどでAIチャットボットを使って自然言語で質問をしたことがある方がいらっしゃると思いますが、「返ってきた日本語がおかしい」「わかりませんという回答が返ってくる」「質問に答えてくれない」など、AIチャットボットはまだまだだなぁ…と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ChatGPTはこれらを感じさせず、本当に人と話しているかのような回答を返してくれ、その文章も非常に自然です。下記はChatGPTに「乾燥肌に悩んでいるんだけど、いいお手入れ方法を教えてくれる?」という質問に対する回答です。
ChatGPTがコールセンターに与える影響は?

いかがでしょうか?乾燥肌に対する的確なお手入れ方法をちゃんと返してくれました。回答までの時間は5秒ほどでした。これがものの数秒で返ってくるのは驚きです。また、症状が重い場合やアレルギーの場合は皮膚科のお医者さんに相談するように+αのアドバイスまでしてくれました。

2.問題や質問生成もできる

ChatGPTは自然な言語だけでなく、問題や質問も高い精度で生成できます。下記は「乾燥肌でテスト問題を3つか4つ作ってくれる?」という要求に対する回答です。

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乾燥肌に対するテスト問題を4問、さらっと作ってくれました。こちらは回答までに7秒ほどでした。そしてテスト問題ということを認識し、最後には回答まで…!これを見ると、コールセンターの仕事にどのように活かせるかのアイディアが湧いてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

3.前の文脈も踏まえた文章生成ができる

2の回答に対して、「フリーアンサーのも欲しい」という意地悪な要求をしてみました。回答は…

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なんとその前の文脈も踏まえて、乾燥肌に対するフリーアンサー形式の問題を4問作ってくれました!従来型の自然言語型AIチャットボットはこれができないケースが多く、質問者側が都度5W1Hを踏まえて質問しないといけませんでしたが、ChatGPTはそこまでのやり取りも踏まえて、的確な回答を返してきてくれます。

4.レコメンド(おすすめ)もしてくれる

さすがにこれは具体的に回答してくれないかな、という質問もしてみました。具体的な商品や企業名を引き出す質問です。まず、「刺激の少ない洗顔料って?どういう成分を避けたらいいの?」と質問し(この回答は想定内)、その上で「おすすめの商品はある?」と尋ねてみました。

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なんと、「企業名」と「商品名」、さらに理由入りでおすすめを4つ教えてくれました…!(ぼかしをいれさせていただいています。)これまでであれば人に聞かないと分からないようなおすすめもChatGPTはしてくれます。(もちろん、この回答の精度の是非は検証が必要な前提です)

この4点以外にも良いところはありますが、コールセンターの現場を知る私としては、非常にすごいと感じたポイントです。

ChatGPTがコールセンターに与える影響は?

ChatGPTのすごい点を踏まえ、「エンドユーザーに与える影響」と「コールセンター従事者に与える影響」の2つを考えていきたいと思います。

エンドユーザーに与える影響

1.チャットボットでサポートできることの幅が広がる

自然言語を読み取り的確な回答を得られるようになることはもちろん、質問やレコメンドまでできるので、チャットボットでできることの幅が広がると考えられます。例えば、顧客の悩みを聞きアドバイスや解決に導くカウンセリングのような使い方もできるでしょうし、テクニカルサポートのような問題の切り分けもエンドユーザーから情報をもらい的確な対処ができると思います。それはイコール、これまで人間でしかできなかったカスタマーサポートがチャットボットで完結できることで問い合わせの電話やメールを減らすことにつながるでしょう。

2.知りたいことを好きなタイミングで短時間で詳しく知ることができるようになる

これは少し広い範囲での話になりますが、知りたいこと、聞きたいことを自分のタイミングで質問し、知ることができるようになります。回答に対してさらに詳しく聞きたくても、コミュニケーター相手では遠慮して聞けなかったこともあるかもしれませんが、何度でも、どんな質問でも突っ込んで聞くことができますので、より深く詳しく知ることもできるようになるでしょう。
※既にChatGPTと連携したチャットソリューションも存在しています。

コールセンター従事者に与える影響

1.マニュアル・トークスクリプトの在り方が変わる

ChatGPTと連携したソリューションを社内で活用し、自社用にチューニングすれば、必要な情報やトークを精度高く出すことができるでしょう。(これまでも同様のツールはありましたが、知りたいことや欲しい情報が即出てくることで顧客対応にも実践的により活かせるようになると考えています。)音声認識と組み合わせ、会話の次の展開を予測して自動的にトークを出す、営業トークの切り返しなどに活用することができ、更にそれらを学習させることで営業成功率を高めることもできるかもしれません。

2.教育のプロセス・構築方法が変わる

ChatGPTの何がすごいのか?でも書きましたが、ChatGPTは問題や質問を考えることができます。新人研修のテスト問題などは人間が考える必要がなくなり、工数削減ができるようになると思います。(もちろん、問題として適切か?答えが正しいか?など人間のチェックは必要です。)また、チューニングすればコミュニケーターのトレーニングにChatGPTを活用することも可能になるかもしれません。例えばChatGPTに自社の顧客像を学習させて魅力的な営業トーク文章を考えさせ、顧客の反応をシミュレーションするなど、教育に特化したChatGPTと連携したソリューションが出てくれば、工夫次第でできるようになると思います。

3.中期的にはコールセンターの価値・運営方法の見直しが必要

以前、「コールセンターってなくなる仕事なの?2022年版」のブログでも書きましたが、コールセンターの仕事は「なくなるのではなく減る」、そして「仕事の質が変わってくる」と私は予想しています。

今回のChatGPTの登場は、その速度を(想像より)加速させる事象の一つです。短期的には1、2で書いたような一部の領域から影響が出始めると思いますが、ChatGPTをはじめ、AIでできることの幅はこれからどんどん広がっていきます。そのため、人でしかできないことは何か?自社のコールセンターの価値をどこに見出すか?を考えていかなければなりません。AIが得意な領域と人間が得意な領域は違います。AIがいくら適切な言葉を返しても、現時点で「心から共感してもらえている」と人間は感じません。共感やおもてなしといった領域はまだまだ人間にしかできないのです。また、運営についても「魅力的なトークスクリプトを作れる管理者」から「ソリューションを活用して短時間で魅力的なトークを作れる管理者」といった具合に、教育や運営方法も変えていく必要があります。

注意しなければいけないことは?

ChatGPTがすごいことは間違いないですが、決して万能ではありません。現時点で下記ポイントについては少なくとも注意しなければならないと考えています。

1.すべて正解を返してくるわけではない

ChatGPTが出してくる回答や返答はすべて正しいわけではありません。(明らかに間違った回答を返してくるという事象も確認されており、一部では問題視されています。)当面の間は返してきた回答の正誤確認は人間でしなければならず、そのまま鵜呑みにしないよう注意が必要です。

2.使用範囲の問題

ChatGPT自体はアカウントさえ作れば現時点で誰でもフリーで使えるものとなっています。ただし、これをそのままコールセンターの業務で使うことは非常に危険です。みなさんが入力した情報は学習データとしてChatGPT側に取り込まれてしまいますので、万が一機密情報やクライアント情報などを入れてしまうとセキュリティ事故に直結します。(既に企業内で周知されているという話も聞こえてきます。)商用のチャットボットやその他のソリューションに正式に連携されているものであればよいですが、フリーのChatGPTをコールセンターの業務で使わないように注意しましょう。商用の場合でも規定などを必ず確認して使用されることをオススメします。

3.著作権の問題

これは他の記事でも取り上げられていることが多いですが、ChatGPTに回答させた著作権がどこにあるのか?については、ChatGPTを使用して作成した文章やコンテンツの著作権やライセンスについては、2023年3月1日時点では作成した人物や組織に帰属するとのことです。しかし作成された文章やコンテンツが既に世にある記事や書籍などと類似している場合は、著作権侵害に当たる可能性があります。また作成された文章内に、引用として第三者が作成した記事などが出てくる可能性もありますので、取り扱いには注意が必要です。ChatGPTは商用として連携されているもの以外、業務で使うのは控えたほうが良いというのが個人的な見解です。

最後に

今回は話題のChatGPTがコールセンターにどういう影響を与えるか、という観点で書いてみました。今後ChatGPTと連携したソリューションが多く出てくると思いますが、コールセンターに従事されているみなさんに改めて「コールセンターが提供できる価値とは何か?」を考えるきっかけにしていただけると何よりです。

チャットボットや有人チャットの導入・運用改善、その他のお悩みに関するご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーをお願いいたします。ご相談、お待ちしております。

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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