経営貢献するコールセンターとは?

経営貢献するコールセンターとは?

こんにちは。コンサルタントの山北です。

弊社はコールセンターやコンタクトセンター運営に関するご相談を日々いただきます。ご相談は様々ですが、お話を色々と伺っていくと「センターの運用改善や応対品質改善に取り組みたいが予算が取れない」というお悩みが良く出てきます。

予算が取れない理由や背景はそれぞれご事情があると思いますが、一言でいうと「やりたいことが具体的にどう経営に貢献するのかを、経営層に理解・納得してもらえていない」ことが原因であることがほとんどです。

考えてみると当たり前のことですが、「お客さまにも喜んでいただけて、経営にも貢献できる」という取り組みであれば、経営層が予算を出さないということは(特別な事情がなければ)ないはずです。そうは言ってもコールセンターができる経営貢献って、お問い合わせを減らしたり生産性を上げたりしてコスト削減するくらいじゃ…と思う方もいらっしゃると思いますが、コスト削減以外にも経営貢献する方法は様々あります。今回はその事例や考え方を書いていきたいと思います。

経営が一番求めていることは?

経営が一番求めていることは?

経営がコールセンターに求めること=コスト削減、となる理由はどこにあるでしょうか?それは「利益の最大化」のためです。会社である以上、事業やサービスを存続させていくことが最も重要であり、そのためには利益を出さなければいけません。

利益=売上-コスト、ですので利益を増やそうと思うと「売上を上げる」か「コストを削減する」しかありません。そうしたときにコールセンターは人を多く抱える必要があり、システムや場所代もかかることから、「コスト部門」と経営から見られるケースは現実的に多いです。(アウトソーシングしている場合でも、コールセンターの運営費としてお金がかかっているので同じです。)結果として「コールセンターのコストを下げること」が至上命題となりやすいのです。

一方でコールセンターの対応が悪かったりすると、SNSやネットで「〇〇の会社にこういう対応をされた!」など不満の声が上がり、それが顧客離反に繋がるリスクがあると判断されると、経営層からは「応対品質を改善しなさい」「電話を繋がりやすくしなさい」といった指令が出ることもあります。「コストを下げるのが今期のミッションなのに、加えて応対品質を上げろ、つながりやすくしろって…」と悩んだ経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん今あるリソースで工夫してコスト削減を進めていくことも大事です。ただ、ここで一度考えていただきたいことは、「利益の最大化のために、コールセンターができることは本当にコスト削減しかないのか?」ということです。利益最大化の為に、「売上を上げることに貢献できる要素」はみなさんのコールセンターにはないでしょうか?弊社でご支援している企業の中にも、最初は「売上に貢献できる部分はない」と言われたケースもありますが、一緒に考えて売上貢献型のコールセンターを作れた事例もあります。

ビジネスモデルを知ることから始める

コールセンターの業種・業態

コールセンターと一言で言っても、様々な業種・業態があります。お客様からの注文を受ける「受注センター」、技術的なトラブルを解決する「テクニカルサポート」、D2Cや通販などの定期商品のお問い合わせや解約を受ける「カスタマーサポート」、保険や金融商品の申し込みや相談を受ける「お客様センター」などなど、自社やクライアント先が行っている事業により本当に様々です。

経営に貢献するコールセンターを作るには、まずその事業の「ビジネスモデルを理解する」ことが重要です。みなさんは自社やクライアント先が提供するビジネスモデルを説明できますか?どうやって売上、利益が出ているのでしょうか?例えば定期商品の販売の場合は、新規獲得がいくら赤字で、定期商品の売上で毎月いくら売上が立ち、その後の継続利用でどれくらいで黒字化するのか?携帯通信キャリアの場合は、他社からの乗り換えキャンペーンや営業にどれくらいコストがかかり、毎月いくら売上が立ち、何カ月利用すれば黒字化するのか?総合通販の場合は、1件の電話受注でどれくらいの売上、利益が出るのか?販促用のカタログやWEB広告にどれくらいかかっているのか?などです。

これが分かると、コールセンターでどんな経営貢献ができるのかのヒントが見えてきます。どういった構造で1回の売上単価を上げたほうがいいのか、継続率を上げたほうがいいのかなどが分かれば、コールセンターで取り組めることも具体的になってきます。

言い方を変えると、ビジネスモデルを理解しなければ経営貢献できる活動はできず、実践してもコストや費用の方が大きくなってしまう可能性が高いです。ビジネスモデルを把握するときには、売上が〇円、利益が〇円、解約率が〇%、顧客単価が〇円といったできるだけ具体的な金額・数字で把握しましょう。クライアントに聞かないとわからない場合はお問い合わせてみてください。

コールセンターのお問い合わせ内容から、お客様に喜んでいただけて経営貢献ができるポイントを見極める

コールセンターによってお問い合わせの内容は様々です。注文が多い、解約が多い、お届け日変更が多い、トラブル解決の相談が多い、それぞれの事業の特性から傾向があると思いますが、まずはお問い合わせ内容を定量的に集計しましょう。その中でお問い合わせの比率が多い内容に対して、お客様の心情や状況を踏まえ「売上を上げる」もしくは「コスト削減」できる余地がないかを考えていきましょう。

考える中で最も大切なことは「お客様の心情を第一に考え、お客様に喜んでいただけることをする(お客様が嫌な思い、不快な思いをするような無理やりなことはしない)」ことです。(コールセンターのPDCAの回し方についてはコールセンターのPDCAサイクルはなぜ回りにくいのか?を参照ください。)

これはとある定期通販会社様との取り組み事例です。

その会社様は、お問い合わせのうち4割が「定期便を解約したい」という内容で占めていました。解約を思いとどまっていただければ売上に貢献できるのではと責任者の方は思っていましたが、一方で「解約を止めるなんてできない…お客様も嫌がられると思うし」という思いから、今まで解約申告に対して継続をお勧めすることは行っていませんでした。しかし実際にお客様対応の音声を分析していくと、「せっかく期待して商品を使い始めたのに思ったような効果がでなかった」という声と、「正しい使い方ができていなかった」というお客様が多いことが分かりました。そこで「解約の理由と使用量・使用頻度のヒアリング」を行い、使用量と頻度が正しくなかった方には正しい使い方を伝え継続利用をお勧めするようにしたところ、なんと30%以上の方が継続してくださるという結果が出ました。中には「教えてくれた方法で使ってみたら効果が出てきた。教えてくれてありがとう。」といった御礼のお電話をいただけたこともありました。その後のLTVを検証したところ、このコールセンターは年間数千万円の売上貢献ができるコールセンターになりました。

解約を思いとどまっていただければ売上に貢献できるというのは当たり前の話ですが、それをもし「とりあえず続けてみませんか」「次回使えるクーポンを差し上げます」といったその場しのぎな継続のお勧めをしていたら、もし継続できたとしてもその後すぐにまた解約の電話はかかってきてしまいます。もっと言えば、無理に継続を勧められる会社という印象をお客様に持たれてしまうと、二度と使いたくないという気持ちになるかもしれません。お客様に喜んでいただけて経営貢献ができるポイントを、お客様の心情を第一に考えて見極めることが最も大切なことです。また、自己満足で終わらないよう、継続していただいたお客様のLTVを追いかけて計測するなど定量的な効果検証も必要です。

中長期的なことにも目を向けて考える

解約したいお客様に継続をお勧めする=売上貢献というのは非常にわかりやすいパターンですが、短期的な売上やコスト削減にならなくても、積み重ねたり、少し長い目線でコールセンターの価値を作れる可能性もあります。

とある賃貸不動産管理会社様の事例です。

その賃貸不動産管理会社様は、入居者からの退去等お問い合わせのコールセンター運営をされています。応対品質にも力を入れられており「また賃貸の件で何かあればいつでもご相談ください。今までありがとうございました。」といった丁寧なクロージングをコールセンター全体で取り組まれていました。ある入居者の方から引っ越しのため退去の連絡があり、退去を承り上記のクロージングで終話されたあと、数カ月後にその方から再度お電話があり、「引っ越した先の管理会社の対応が色々悪くて嫌になった。退去の時のオペレーターさんに何かあったら相談していいって言われたんだけど、元の物件に戻ったりできますか?」というお申し出があったそうです。最終的に元の物件には空きがなく、この会社様の別の物件に入居が決まったとのことでした。

この会社様の店頭の対応が良かったこともあると思いますが、責任者の方がおっしゃるには、退去の時の良い印象が残っておりこの方は戻ってこられたようだとのことでした。単純に商品が良いだけではなく、アフターフォローや一度離れてもいつか戻ってきたくなる、そういった中長期的に効いてくる対応も経営貢献につながるコールセンターの一つの在り方かもしれません。

定量的に貢献度を示すことが重要

ここまでご紹介してきた事例も含め、1件だけの感動的な対応やうまくいった事例だけでは経営への貢献度は見えません。100万円教育コストをかけたけどどれくらい経営に貢献できたかわかりません、では経営層の理解・納得は得られません。そのため、取り組んだ活動に対する定量的な検証が必要になります。

例えば、応対品質を向上させること=経営への貢献につながるということを証明するには、応対品質が高いコミュニケーターと低いコミュニケーターが対応したお客様のその後の解約率の差や、購入単価の差を比較して年間売上やLTVにどれくらいの差が出てくるかを一定のサンプル数で比較テストをして検証しなければいけません。検証方法は取り組み内容によりそれぞれですが、「こういう御礼のお電話がありました!」「対応が良かったと言われました!」だけではなく、それが利益、売上にどういうプラスの影響を与えたかを定量的に算出し、示す必要があるのです。予算取りの段階においてはその見込みをロジック化し、具体的な目標をもって経営への上申を行う必要があります。

最後に

今回は経営貢献するコールセンターとは?というテーマで書いてきましたが、貢献の方法は業種、業態、コールセンターの特徴、お問い合わせの内容などによってそれぞれ違います。Cプロデュースでは、各企業様の特徴に合わせた経営貢献するコールセンターのご支援実績がありますので、コールセンターの運営に関するお悩み、ご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーをお願いいたします。

お気軽にご相談お待ちしております。引き続きコールセンター業務に従事する皆様に活用いただけるブログを書いていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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記事を書いた人

Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。

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リモートワーク中につき、代表電話が繋がりにくい場合がございます。その場合、恐れ入りますが、お問い合わせフォームまたは、直接担当者の携帯電話(メール)にてご連絡くださいますようお願い申し上げます。

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